2016 Toughroad SLR1 レビュー《3:操作性・フィーリング》

Toughroad SLR 1【2016年モデル・ 評価】
前回〕は『Toughroad(タフロード)』を実走させ、”巡航“から”登坂“などの基本的な走行チェック的なインプレでした。

今回は、バイクの操作性やハンドリング、またドライブ系やコンポーネントの質感(フィーリング)をふくめた細かな情報をレビューします。

実走インプレッション

バイクを購入するとき、ブランドはもちろんのこと、フレーム形状や色合いといった『見た目』というのも重要です。
Toughroad SLR 1【2016年モデル・ 評価】
ただ、バイクを構成する部品は車種・グレードによってバラバラ。スポーツ自転車は全身をつかって操作することが多いため、変速・駆動系(ドライブトレイン)や操作系(ハンドル、シフター、ブレーキなど)や他の質感・要素が多数あります。これらの好みや相性を含めて、走行中のフィーリングは重要なチェック項目になります。


操作性

ハンドリング

このバイクで一番意外だったのがハンドリング。

なぜなら、29er(29インチホイール)なうえに荷物を積載する目的で開発されたアドベンチャーバイクだから、安定指向のハンドリングを想像していました。
とくに市場投入された頃の29er MTBは、タイトコーナーが苦手で『曲がらない』とよく耳にしていました。実際に初期の『Gary Fisher(ゲーリー・フィッシャー)』に乗ったときも、ヘアピンコーナーではバイクを意識的に倒し込まないと旋回に入らないものでした。
Toughroad SLR 1【2016年モデル・ 評価】
そんな経験をよそに、拍子抜けするくらいToughroadはスパスパ曲がるから驚く。その軽快さは26インチホイールMTBと勘違いするほど身軽で、急な進路変更や、シングルトラックのスイッチバックでも「ヒラリ!」とバイクを倒して旋回できるほど。
ここまで素直なハンドリングであらば、なにも意識せず誰でも気がねなく乗れます。そして、荷物を積載してない状態なら29erスポーツバイクに化ける面白さがあります。

ハンドル

Toughroad SLR 1【2016年モデル・ 評価】
バイク操作に重要なハンドルバー[GIANT CONNECT XC RISER 31.8 640mm]との相性も良かった。バーの幅〈640ミリ〉は私の体格(身長:約166センチ)にフィッティング良好。グリップは良い感じの位置にあり、勾配のある坂道登坂でも軽く抑えがきいてハンドルは左右にブレにくい。
また、少々ガレた下りセクションでは、ちょうど良い感じに腕が湾曲するため、衝撃吸収アクションやホールディングがしやすくコントロール性は高い。
Toughroad SLR 1【2016年モデル・ 評価】
ハンドルは”たわみ“が少なく剛性はシッカリしている。そのため、路面からの衝撃・振動緩和のためにカーボン素材のハンドルに換装するのもアリでしょう。

ハンドルの形状は、後にしなったバックスイープが大きいタイプ。この形状によって、腕の長いライダーはトップチューブの長さからイメージするより、上半身が窮屈に感じることがあるでしょう。

コーナーリング

Toughroad SLR 1【2016年モデル・ 評価】
コーナーリングでは、ホイールを含めてバイクフレームの剛性が高く非常に安定しています。とくにターマック(舗装路)のコーナーリングでは、バイクの倒し込みでもカッチリとしたフィーリングが分かりやすく伝わってきます。これによって連続するタイトコーナーでも走行ラインにヨレがなく、余裕で旋回操作に集中できます。

グラベル(砂利道)では、少々砂利が大きいても安定性は高く、サイクリング的な速度域であれば余裕のライディングが可能。しかし、装着しているセミスリック系タイヤ[MAXXIS MAXLITE SPEED 29×2.0]のサイドノブは低くく、速度が出ているとバイクを倒し込んでもグリップしません。ただ、バイクの優れた剛性を活かして、スライドで豪快にクリアするのも面白いでしょう。

乗り心地(フレーム/フォーク)

Toughroad SLR 1【2016年モデル・ 評価】
乗り心地は硬め、かといって全てガチガチではないです。ただ、フレーム剛性は高く、見た目そのままMTBのように強靭であるため、そのイメージに反しない乗り心地を想像してもらえればいいと思います。そのかわり、ペダリング入力の反応はホイール剛性も加わり良好で、踏み込めばダイレクトな加速を楽しむことができます。

フォークの部分には[Advanced-Grade Composite]という大径のカーボンを採用していますが、こちらの強度も高い設定であるため、ロードバイクのような”しなやかさ”は感じられません。なので、素材から想像するような振動や衝撃の吸収能力に過度な期待は抱かないほうがいいでしょう。

フレームもフォークも、このようなフィーリング。なので、高めの縁石ジャンプなどモノともしません〔※荷物積載時は危険:キャリア破損します〕。

乗り心地で分かりやすいのが、カマボコ状のシートポスト[D-FUSE]のしなりは僅かながらも体感できます。とくにサドルを後方に引いてセッティングしていると効果は高いです。


ホイール周り

ホイール

Toughroad SLR 1【2016年モデル・ 評価】
さきほども書いたとおりホイール剛性は高い。リムに張られたスポークはシッカリとした太さがあり、本数は前後とも32本で組まれています。リム形状は低めのディープ状な設計。前後に荷物を積載することも設計に入っているので、この剛性は当然ではあります。
Toughroad SLR 1【2016年モデル・ 評価】
ホイール全体に強度をもたせているため、コーナーリング中にホイールを寝かせても、たわんでフラつくような不安は感じられません。このフィーリングはグラベル(砂利道)でも変ることはなく、不安定なダートでも進行方向へむかってガッチリと進んでいきます。

また、このホイールリムには特徴があり、部分的に質量をもたせて転がり続けようとする特性がある。それによって、ホイールが回転し始めた後は少ないトルクのペダリングで速度を維持することが可能になります。これは逆風でも効果が高く、楽にバイクを進めることができます。

軽量ホイールではありませんが、アドベンチャーバイクToughroad専用設計の優れたホイールセットです。

タイヤ

Toughroad SLR 1【2016年モデル・ 評価】
タイヤはMTBのXC(クロスカントリー)競技用に開発された軽量で高性能な[MAXXIS MAXLITE SPEED 29×2.0]を採用している。

タイヤはカッチリとした硬さをもっており、タイヤの空気圧を高めな設定にしてしまうと、剛性の高いホイールとの相乗効果でタイトな乗り心地になる。よって、路面からの衝撃はあまり緩和されずバシバシと腕に届きます。

私は振動と衝撃の対策として、空気圧は〈1.8 ber〉程度の設定です。これは、タイヤ幅〈2インチ=約50C〉のエアボリュームのおかげで、空気圧を落としても腰砕けにならず”リム打ちパンク”の心配が低いからです。しかし、段差や衝撃になりそうなモノを通過するばあい、リスク回避に腕脚での衝撃吸収や抜重のアクションをオススメします。また、この空気圧設定によってハンドリングが改悪されることもありませんでした。

ただし、キャリアを装着してパニアケースに荷物を積載するばあいは、推奨空気圧である〈2.5~4.5ber〉を参考にエア圧を設定してください。


コンポーネント

バイクのコンポは、ドライブ系が『SRAM(スラム)』、ブレーキ系が『SHIMANO(シマノ)』のミックス構成。

変速

SRAMのドライブコンポーネントは、MTB系のパーツで構成。シフターは[SRAM SL700 10S]で、変速は二つのレバーを押して変速させるトリガーシフター機構で操作感はガッチリとしている。
Toughroad SLR 1【2016年モデル・ 評価】
前のチェーンリングや後スプロケットを大きい歯に変速するばあいは、少し重めのレバーフィーリングですが、変速するタイミングまでレバーを押し込むと「ガチ!」という金属音がして変速は完了。
前後とも小さい歯(ギア)に変速する場合は、シフターを短かめに押すと「バチ!」と歯切れのよい音で素早い変速。リアを小さいギアに複数段変速させる場合は、変速段数分のボタンを押さなければなりません。
Toughroad SLR 1【2016年モデル・ 評価】
前後変速の歯数は、前が〈42 × 28T〉、後が〈11-36T〉とワイドレンジ。変速がアウターロー(前後が一番大きいギア)になる〈42T〉と〈36T〉のペダリングも可能になるため、大きいトルクを掛けない低速走行などに使用できてメリットが大きい。ちなみに、平地でのアウタートップの最高速度は、常識的なペダリング回転で考えると〈40 km/h〉くらいでしょう。

ブレーキ

SHIMANOのブレーキセットは油圧ディスクブレーキシステム。ブレーキレバーが[SHIMANO M396]、ブレーキキャリパーは[SHIMANO M395]で〈160 mm〉径のディスクローターを採用。
Toughroad SLR 1【2016年モデル・ 評価】
ブレーキレバーからブレーキキャリパー周りを含めて、価格的には廉価なパーツ構成ですが、レバー全体の質感は良く、レバーに変なグラつきはありません。また、海外ブランドでありがちなブレーキパットとローターの慣らしの必要がなく、乗り始めからブレーキの効きは良い。

ブレーキの作動感は、レバー入力に対してリニアでコントロールしやすい。レバーの引きは軽く、少ない握力で十分な制動力を発揮するため、峠からの長い下り坂でも安定の制動力が得られます。また、指の長さに適合させるためのリーチアジャスターを搭載するので、幅広いユーザーに最適化することができます。

廉価な価格を超える、かなり優れたブレーキシステムです。


まとめ

GIANTとして初のフラットバー・アドベンチャーバイクである『Toughroad(タフロード)』。

このジャンルのバイクは、キャリアを装備するため強度と安定性を高める引き換えに「重量が重く、ハンドリングはダルい」というスポーツ性能を諦めたバイクが多い。
しかしToughroadでは、そういった条件をクリアしながら軽快なハンドリングに高い走破性を加えることで、ターマック(舗装路)からグラベル(砂利道)までスムーズな巡航性能を備え、新世代のロングツアラーバイクを誕生させた。
Toughroad SLR 1【2016年モデル・ 評価】
さて、駆け足なインプレになりましたが、おおよその情報を書き出せたと思います。Toughroadは納車されてから日が浅いため、まだ書き漏らしたこともあるでしょうが、今後の実走で気付いたことは、またアップしていこうと思います。



タフロード長期レビュー

スポーツ自転車は、買ったあとも意外と手を加えることがあります。基本は、細かく身体に合わせたり(フィッティング)。さらに、自分の求める走り方に部品を交換したり、より軽快に走行できるよう軽量化したりと、乗り手に好みに合わせたアップデートができます。

タフロードは軽量化すればクロスバイクのように高速に走れ、グリップの良い太いタイヤをはかせれば悪路も走れ、荷物を積載すればロングツーリングも可能です。また、ドライブトレイン(変速機・ギア)を変更すれば脚力と走行フィールドに最適化した走行も可能です。

そのような多彩な方向性に対応できることを Toughroad で実施して『GIANT Toughroad 長期レポート』として長期レビューします。

GIANT Toughroad 長期レポート



    このポストに関連する記事